読書

ヒットラーのむすめ/ジャッキー・フレンチ

すぐに図書館予約 スクールバスを待ちながら もしもヒットラーに娘がいたらと 架空の物語ゲームを始めるオーストラリアの子供たち マークが感じ始めるいくつもの疑問 善悪の違いはどのようにわかるのか ひととの違いに気付いた時 どのように行動するのか 正…

「弱者」とはだれか / 小浜逸郎

【短い右腕は個性 世の中を変えることだってできる】 (東京2020) この言葉がテレビから聞こえてくると 切なくなる 「個性」って、何? ひと月ほど前に読んだ本 「弱者」とはだれか 「個性」ということばの使い方には、 「特長」と同じように その人のすぐ…

異邦人(いりびと)/原田マハ

「美」は魔物 「アートのためならすべてを捨てて突き詰めていくという ―― 芸術至上主義の人を書きたくて登場させたのが菜穂 ―― 彼女は私の理想像 ―― 美のためなら夫をも蹴散らしていく、 圧倒的に強い女性を描きたかった」 と、女性誌に語った著者 アートキ…

日日是好日

学校もお茶も、目指しているのは人の成長だ。 けれど、一つ、大きくちがう。 それは、学校はいつも「他人」と比べ、 お茶は「きのうまでの自分」と比べることだった。 ........本文より........ 行儀作法としか思っていなかった「お茶」が 20年のお稽古を…

不思議な心模様

「僕が殺した人と僕を殺した人」 /東山 彰良 13歳 中学一年生の3人の少年たち それぞれに家庭の事情を抱えている 6歳年上の兄の死によって 心を病む母を持つユン 継父の暴力から不良の道を行くジェイ 両親の不仲で平穏ではない日々の アホン 3人の少年が出会…

紙つなげ!

【紙つなげ !】 佐々涼子 日本製紙石巻工場に働く人々を 通して見た 2011年3月11日 テレビでは知り得なかった 東日本大震災のノンフィクション 震災後に仙台を訪れた時 地元の人が言った 「流された車には人が乗っていた テレビでは人が消されているんだ 「…

私が一番

久しぶりのブログ 久しぶりの 沢木耕太郎 【銀河を渡る】 あとがきを含めて 461ページにもなる エッセイ集 図書館の書架に並ぶ前に リクエスト予約 予約番号「1番」の登録 真っ新の本 いつもは「しおり紐」を使わないのですが 1番なので 使います 読み始めて…

終わった人

今週の本は コレ 【終わった人】 脚本家内館牧子氏の小説 テレビドラマのようにテンポよく 一気に読ませる 田代壮介63歳の定年退職から 物語が始まる 田代は「定年は生前葬だ」と言い 自らを「終わった人」だと言いつつも・・・ 現状を受け入れられない思い…

サウスバウンド

今回の借入本は コレ この中から サウスバウンド/奥田英朗 【中野ブロードウェイは上原二郎の通学路だ】 書き出しに引き込まれる 6月に中野区長選があった 中野サンプラザの解体、存続も争点のひとつ 駅前にアリーナを中心に集客施設を建設するという 駅前…

我が家の問題

短編6つのオムニバス 読みながら 本のタイトルに納得 作品の全部 きっと誰もが 「我が家」の問題だと思うはず 最初の『甘い生活』は 新婚家庭の できすぎ奥様の話 絵に描いたような完璧な新婚生活 愛する彼と【ふたり】で作りたい 夢のような完璧な思い出 新…

重たい本

494ページ 540gの本 ものぐさで 寝転んで読むには 重たい と・そんなことではなく 立て続けに 内容の重い本を読んだ そして今まで味わったことのない感情が起こった 疲れる とても疲れた 内容の重さに 気が滅入る (読書にも体力が要るようだ 若さも必要…

オデッサ・ファイル

子どものときから止むことのない読書 人生の残り時間を 時々数えるようになったこの頃 今の読書は 乱読 オデッサ・ファイル /フレデリック・フォーサイス 最近は本を読みながら その本の中に次の本を見出している 阿川弘之氏が 著書【エレガントな象】の中…

父の逸脱

父の逸脱 ピアノレッスンという拷問 セリーヌ・ラファエル著 これは児童虐待の本である お化け屋敷を入口から出たことがありますか? 子どものころ 夏祭りになると 見世物小屋の興業がやってきた サーカス小屋や猛獣小屋 爆音を響かせて回るオートバイの曲乗…

蜘蛛の糸

【或日の事でございます】 冒頭の一行で 遠い昔が 一気によみがえる ざわめきや匂い 教室の少し淀んだ空気 お若い作家さんを選んだ時には ちょっとだけ 古い作品を一緒に借りる 授業で習ったのか 自分で選んで読んだのか 或いは 有名すぎる書き出しに 読んだ…

非色/有吉佐和子

【複合汚染】を再読し その時に知った本 一冊の本が 次の本を教えてくれる ひとは何によって 優位性を保つのだろうか 第二次世界大戦後の日本にやってきた進駐軍 黒人の米兵と結婚し 戦争花嫁としてアメリカに渡り そこに暮らす 彼女が目の当たりにする差別 …

アウシュヴィッツの図書係

文学は、真夜中、荒野の真っただ中で擦るマッチと同じだ。 マッチ一本ではとうてい明るくならないが、 一本のマッチは、周りにどれだけの闇があるのかを私たちに気づかせてくれる。 ウィリアム・フォークナー 自由を奪い、思想をコントロールしようとすると…

ことばの向こうにみえるもの

洗練されたことばの美しさが好きです 匂い立つようなことばのエレガンスが好きです ことばの向こうに見える風景が好きです 立て続けに 辻仁成氏の作品です どの作家でも短編は苦手なのですが 【明日の約束】に収められた6篇 なかでも 『隠しきれないもの』…

Simple & Luxury

関心事に目がいくのは 人の常 私の関心事のひとつは 片付け それでも 最近の片付けの賑やかさに少々疲れ気味の私 ならば、関心を寄せなければ良さそうなものですが そこはソレ それもできません 初めての著者の本です 木村里紗子著 「シンプル」のタイトルに…

巴里に死す

巴里に死す/芹沢 光治良 初版が昭和29年 文庫本の活字も小さく 読み通せるかしらと思いながら ページを繰っていきました 引き込まれ一気に読み終えました 最後の一行を読み終えそのまま解説文へ(古谷綱武氏) 【作品を読み終わって、どんなことを、かんが…

いつか、一緒にパリに行こう

いつか、一緒にパリに行こう 何度でも読みたくなる本 何度も何度も読んでいる本 パリにも連れていった本 パリが好きです 4年程前には、芸術のパリを書きました 今回心にとまった一文は、フランス人の気質です フランス大統領選が終わり、新大統領夫人は25歳…

マルテの手記/リルケ

壁一面の本棚から 千冊近い本を整理した昔 手元には二十冊に満たない本を残しました その一冊は「マルテの手記」 なんど読んだのかわからない なんど読んでもわからない なんど読んでも新たな気付き 私の「マルテの手記」 最近の「マルテの手記」はこの装丁 …

天皇さんの涙/阿川弘之

「美の巨人たち」という番組が好きです 小林薫のナレーションが格調の高い番組に仕上げているようで とても落ち着きます・・・落ち着きました(過去形) いつ頃からでしょうか コント仕立ての解説がつくようになったのは・・・ ガッカリ・です 阿川弘之氏の…

旅の窓

・・・しかし、旅を続けていると、ぼんやり眼をやった風景のさらに向こうに、 不意に私たちの内部の風景が見えてくることがある・・・ 世界を旅する沢木 耕太郎 氏が 【ヴェトナムのホーチミンで、肩を組んで歩いている二人組の男の子とすれ違った】 【最近…

丁寧な日常語

読んでいると こころが静まり 気持ちがゆったりとしてくる 阿刀田 高 氏の本を続けて2冊 【ユーモア革命】 と 【ギリシャ神話を知っていますか】 【神話】の方は もう何度目かしら・・・ 難しい言葉もない 奇を衒うような文章もない 読んでいて軋みを感じる…

黄昏いろいろ

「伸坊さんとイトイさんのおしゃべり付の遠足」 遠い昔の中学生のような絶え間ないおしゃべり そんな本のタイトルが「黄昏」 そのあとがきは 赤瀬川原平氏 とても深い意味を持つ書名だったのです たそかれ時に立っているかもしれないお二人の 優雅な水中散歩…

電車では読めない本

気が付くと2月も最終週 時計の針の回り方が速い (我が家の時計はボンボン時計ですから) 私の大好きな伸坊さんとイトイさんの遠足 好奇心満載の楽しいおしゃべり 【黄昏】 読みながら笑い過ぎの涙がぽろぽろ 私は笑い上戸です 「また 勝手にあれこれ想像し…

住んでみたドイツ

「住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち」 ドイツ在住の主婦が市場に買い物に行って・・・ 主婦目線で日常を書いているのかと思ったら なかなか政治的な内容が多く骨太な感じ 私自身は数年を海外で過ごし 日本が良いと思っている 「借り物のように見える日…

恍惚の人

昭和47年に発行された本 若い時代をとっくにとっくに過ぎた今 読み返すと 「恍惚の人」を見る視点が当然のように変化している 主人公は恍惚の父親の姿に自分の先の姿を重ねるのですが 再読している私自身も 「その気持ち」が分かる そんな年齢になりまし…

そこのみにて光輝く

函館の作家 佐藤泰志の小説の映画化 前作の映画「海炭市叙景」に続いての函館ロケ 観光地函館の観光名所はどこにも出てこない 圧倒的な貧しさと悲しみ 函館の光と日常 日常の函館が好きだ 「しかたないショ」と言って 前を向くとき そこに見えてくる光が好…

原発ホワイトアウト

内容に目新しいことは何もないのですが 読後 やり切れなさ 無力感 そんなものが 残ります 近くの独裁国家が浮かんできました あちらはファミリーで こちらは既得権益を得た集団で 政治のレベルは国民のレベルでしょうか・・・ ブランコにでもゆられて・・・…