日日是好日

     学校もお茶も、目指しているのは人の成長だ。
     けれど、一つ、大きくちがう。
     それは、学校はいつも「他人」と比べ、
     お茶は「きのうまでの自分」と比べることだった。
                 ........本文より........

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行儀作法としか思っていなかった「お茶」が
20年のお稽古を経て、茶道の奥深さに
魅せられていく作者の心模様が描かれている

平易なことばで綴られる文章は
美しく 穏やかだ

静謐
茶釜にわく湯の音が聴こえてくるようだ
  (「松風」と名前があるのですねぇ)


茶道がこんなにも魅力的で奥深いものとは
知らなかった

今からでも遅くない
いつもならそう思うでしょう
ただわたくしは日本茶が苦手なのだ
家で日本茶を飲むことは皆無

茶道に関する言葉のあれこれにも興味がわく
かけじくの意味も知りたい
茶花についても知りたい
季節の意味合いも知りたい

そんなことを思いながら
何かとても大切な物を遠くに置いてきたような
気持ちになっている


静かなお茶室に六月の雨の音
梅雨の雨音と秋雨の音は違う
十一月の雨は、しおしおと淋しげに土にしみ込んでいく
同じ雨なのに

葉っぱが枯れてしまったからなんだ
六月の雨音は、若い葉が雨をはね返す



作品の静けさに
読みながら音が聴こえる

耳だけは頗る良い
他の人に聞こえない音まで聴こえる
聴こえすぎて疲れるほどに

静けさの中に
季節の音を楽しんでみたい
あたかもお茶室に正座をしているかのように
せめてお茶の空間を味わってみたい


和菓子(茶菓子)は繊細で美しい
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茶道具には干支の道具がある
使用はその年の正月と最後のお稽古に限定されている
あとは木箱に仕舞われ十二年後を待つ


干支の茶碗が、こう言っているような気がした。
「いろんなことがあるけれど、気長に生きて行きなさい。
じっくり自分を作っていきなさい。
人生は、長い目で、今この時を生きることだよ」
                                               ........本文より........