黄昏いろいろ
「伸坊さんとイトイさんのおしゃべり付の遠足」
遠い昔の中学生のような絶え間ないおしゃべり
そんな本のタイトルが「黄昏」
そのあとがきは 赤瀬川原平氏
とても深い意味を持つ書名だったのです
たそかれ時に立っているかもしれないお二人の 優雅な水中散歩なのかも・・・
黄昏の語源は「誰そ彼時」(たそかれどき)
町がだんだん薄暗くなり、すれ違う人の顔も見分けがつきにくく、あれは誰?
という時間帯を古語で「た、そ、かれ」というらしい
何歳で死のうと、死をもって完結すれば、それはその人の寿命
完結した人生の時間の中で、終末には黄昏を感じたのではないか
それでも二十歳と六十歳では、黄昏についての感覚もずいぶん違うだろう
日が暮れていく短い時間、辺りのものが妙に色鮮やかに見えてくる
あれは好きだった。でもそこからだんだん暮れて、暗くなってくるというのが、
若いころは嫌だった
今思うと、それは若いころの神経だ
後期高齢者に向かっているものは、夕暮れが嫌だ、
黄昏は寂しいと思ったにしても、もはや慌てられない
慌てようにも足腰が衰えて、急には動けない
それは何か悠然とした態度にも見えてくる
若いうちは慌てられる、うろたえられる
歳をとると、もはやその機敏さはない
黄昏の海に腰までつかり、水中歩行
夕焼けは赤いが、黄昏は黄金色だ
その先に到着するあの世も、黄泉の国と書く
涙といっしょに笑い転げながら読んだ本のあとがきに、珠玉のことばです
そして
「黄昏時ってなんか嫌なのよねぇ・・色は綺麗なんだけれど」と
言いながら街を歩くのは 若かった頃の私
黄昏時も黄葉も 美しいと思える今になりました