巴里に死す
巴里に死す/芹沢 光治良
初版が昭和29年 文庫本の活字も小さく
読み通せるかしらと思いながら
ページを繰っていきました
引き込まれ一気に読み終えました
最後の一行を読み終えそのまま解説文へ(古谷綱武氏)
【作品を読み終わって、どんなことを、かんがえたのでしょうか。
・・・・作者がえがきだしたひとつの人生のなかへ、ひきいれられ・・・・
ふかい感動が、あなたの心をとりかこんでいるでしょう。
それも、なにか香りたかいふんいきをただよわせながら――】
夫の留学先のパリに暮らし、やがて再発した結核の療養のためにひとりスイスへ
主人公のこころの変遷とともに 描かれるフランスやスイスの風景が匂い立つように
わたくしの意識を満たします
登場人物をもって芹沢氏が語った言葉に
【マルセイユに上陸したとたんに、ラテン文化、フランス文化が
アングロサクソン文化とちがったものだと、空気のように感じました。
どう違うか、・・・・何かしらほっと安心するようなもの、荒々しくなくて
どんな異分子をも包含してくれるようなもの、
人間の尊厳をおかすようなものではないことなど・・・】
それぞれに何度か訪れた国 昔も今もその香りが変わっていないように思います
余韻のある とても美しい一冊を読み終えました